2011年12月20日

実践コース:佐賀の食と農シリーズその1

2050年には90億に達するとも言われている地球の人口。
その食を何処の誰が賄うのだろう。どのような方法で生産されたものを、我々は食べるのか?

このシリーズは
佐賀に於ける食の現状と食を担う農村の変貌、産品を生産現場の近隣或いは街中で販売し消費者と向かい合う等の活動をしておられる各講師が、それぞれ観点から講義を行います。
今日の講師は、元佐賀大学農学部教授 田中欽二さんです。
テーマは「近代農業から自然農へ」


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市場価格・規格化。省力化・化学肥料・農薬。
市場原理だけに追いまくられ、私たちは無駄も放置し、豊かさと考えてきた。近代農業は、土壌に多大な負荷をかけ収奪のみを行ってきたのではないか。人間も含めた生物が命をつなげる環境は維持できるのだろうか。


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示された「自然農」の姿 生命の循環。
受講者にとっても真新しい図式ではないが、「虫も作付外植物も敵にしない。」を講師は実践しておられる。


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この世代は「ヘルシー」と言われる日本の伝統食?に馴染んできただろう。今では使用禁止になっている農薬のこと、遺伝子組み換え作物のことなどの質問がありました。

手前の黒いポットには、講師自身が作られた小芋料理「衣被ぎ」(きぬかつぎ・きぬかづき)を入れて持ってきて下さっていました。皮つきのまま茹でたもので、頂くときに皮の一部を剥いて頂く作法もあるようです。
漢字を宛ててもらい分かったようなものですが、皮を衣(ころも)に見立てたような、艶っぽい料理ではありませんか。
この料理の原初は兎も角、小さなものも無駄にしない「文化」を感じました。文化は受講生のおなかにみごと収まりまりました。

価値を存在そのものから見出す短絡ではなく、それを育んだ背景に想いを寄せる回顧・回想・逡巡こそが豊かさに繋がるのではないだろうか。殊食においては、それが味わうことではなかろうか。
醍醐味は前のみにではなく、背後にこそあるのかも知れない。

丸太はにっき(肉桂)です。
打ち合わせに数度来館された際にTが話したことを覚えておいて下さったのです。
顔を寄せると、仄かな甘い匂いがしました。
運動会を抜け出し、近所にあったにっきの木から肥後の守で皮を剥ぎ取った昔を想いだしました。
今はほとんどシナモンしか知られていないのですが。受講生の多くが懐かしさをおぼえられたようです。
館にまた、香木が増えました。田中先生、有難うございます。


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退官後、無農薬・自然農法を実践され、自ら「小作人」と称される。
そこで採れたキクイモ、ヤマイモ、ニンジン等
“規格に囚われない作物”?を見本にお持ち下さった。
これらは、旧市内の店にも納められているようです。

講義終了後、一袋百円で受講者に買われて行きました。
生産者は「三十円でも。」と仰いましたが。ゆっつら〜と館のTが
高値で売りさばきました。とさ。


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入り口左手の「ゆっつら〜と掲示板」には今回のシリーズに関連する資料を少々置いています。
色々な方の力添えを頂きました。有難うございます。
その横は大家(ヤマニ)さんからお借りした姿見です。
掲示板の中も、姿見の中もしっかりチェックして下さいね。



ジレンマが横たわる。
多肥料、多農薬により収穫量を上げ、省力化に邁進してきた生産者の誰しもがこの図式で「産業」として成り立たせるのは容易ではないだろう。
姿形の整った商品を求めてきた消費者が、前時代的とも思える手法で作られる産品に高い価値を認め、対価を支払うだろうか。

自らが提供するサービスは高価で、
他者から受けるサービスは廉価に。
誰もが、業こそ違え、生産者であり消費者。

とは言え
「ただちに害はない〜。」「そのようなデータハはない。」等の昨今の常套句を想起すると「何時かこうならなければイケナイ。」と構えてもいられないのではないだろうか。
土壌汚染は既に日本国内の問題であり、そこで収穫された生産物は、食べることで、生物濃縮され私たちの体内に蓄積される。

「ただちに」とは一体どれ位の期間を言うのだろう



灌漑することで連作障害が避けられると言われる米作。
オーストラリアに於ける灌漑、水事情、塩害は起きないかとの疑問があった。そこで、
九州農政局のU木さんに、しどろもどろで助けを求めました。
一面識すらないのに彼は、追ってのメールで「オーストラリアの〜」という資料のありかを教えて下さった。

余程関心をお持ちの方でない限り、読んでみようとは思われないだろうと思いながらプリントを始めた。トナーが切れた。
これも続きは来年か。昨年と少しも違わない。

シリーズ その2 は明けて10日です。
それでは皆様、健康に留意され良い年をお迎え下さい。





<ゆっつら〜と館 T>






posted by スタッフ at 15:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 街角大学
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