2011年10月25日

10月20日、佐賀の祭りその3 は浮立についてです。
記事のアップが斯様に遅れたのは相当の訳がある。
相当であるからして、容赦されたい。

浮立は「風流」の当て字で、雅やかなもの、人目を引く風情のあるものといった意味があるそうだ。
講師のいわれる「人々の浮き立つ心を言いあらわしている〜。」というのも納得。

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佐賀県を中心とする肥前一帯には大太鼓、小太鼓、鼓が中心となってリズミカルな奏楽を奏でる「皮浮立」と、大鉦や小鉦が中心の「鉦浮立」には、頭上に大きな月形を踊り手が舞い踊る天月(天衝)舞浮立、鬼面を付けた踊り手が集団群舞する面浮立があるそうだ。
毛槍や奴がが登場する「行列浮立」「獅子浮立」「舞浮立」もあり、旧武雄領に伝わる「荒踊り」や「かんこ踊り」も浮立の一種とされているそうだ。

佐賀市近隣で一番馴染みの深いのが「天衝舞」だろう。
佐賀市神野町にある掘江(手偏ですよ)神社、鍋島町蛎久の蛎久天満宮、蓮池町の小松に伝わる
それぞれの天衝舞に伝承・伝説があり興味深い。


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見づらいかも知れないが、モニターに映っているのは
「大口袴」(おおくちはかま)。
現在では、能、歌舞伎で用いられている。
腰の部分が横に張り出している。
天衝舞で用いられるゴザはこの代用である。
「玄蕃一流奥傳巻」に、大口の代わりに藺筵(いむしろ)使ってよい、と書かれているそうだ。
巷間いわれる「舞い損ねた折は、その上で自害する...。」は
舞の厳格さを物語るのだろうとの説明がなされた。
 


これらの民俗芸能はその土地土地により様々な要素が加味され伝承されているのだが、「さてオリジナルはどれだ!」などと才気走ると、本質を見失う怖れもあるが、掘江神社天衝舞は
掘江大明神(掘江神社)の祀官 掘江玄蕃が雨乞いの為1556年に創始したと伝ている。

他方、川副町の由来記「玄蕃一流奥傳巻」は「徐福伝説」を想起させるようだ。曰く、「始皇帝の命を受け不老不死のの薬草を求め諸富町の寺井津に上陸した徐福一行を、ここの住人玄蕃亮恒利が浮立大神楽を再興して金立山に同道した、とあるそうだ。

蛎久天満宮のそれは、天満宮左手に祀られている「竜樹菩薩」に由来するという。
漂着した巨大な仏像を引き上げようとしたが、あまりの大きいので動かない!老若男女が笛太鼓、面白く囃し立て、浮立のおかげで引き上げることができたといわれる。

蓮池町の小松神社(祭神 平重盛)の「小松浮立」のいわれは、
情として心に沁みる。
「神埼の荘」をはじめこのあたりには平家の荘園がいくつもあったに違いなく、清盛の子「小松殿」とされた重盛の名前がこの地区名に遺されたとしても不思議ではない。
さてその浮立だが、平家隆盛の頃、築港の際に海神をなだめるために囃した浮立であるといわれているらしい。ここの浮立には笛が用いられないことから「笛なし浮立」とも呼ばれているようだ。

何故笛を用いないか、深い訳が〜。

平敦盛(たいらのあつもり)という人物がいた。
清盛の兄弟 常盛の三男。清盛の甥にあたる
一の谷の合戦で源氏の武将熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)に若干16才で討たれる若武者である。
敗色が濃くなり、海へと逃げる際、愛用の笛を取りに戻った彼は
直実と遭遇、命を落とすことになる。


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写真左:敦盛草 右:熊谷草

このことに関しては、下の資料にリンクを張っておきます、敦盛と直実の対峙についての講談をぜひお聞きください。

蛇足ですが、彼らの名前を冠した植物があります。

「アツモリソウ」「クマガイソウ」(熊がいそう)ではありませんよ。
リンクを辿って講談を聞かれた方はその植物の姿形もまた印象深くなるでしょう。

カタカナ表記では、
その名前に込められた故事も、由来すらも見えなくなる。


資 料

敦盛と直実

以前取材したものです。金子先生に助けていただきました。

蛎久天満宮の天衝舞

掘江神社の天衝舞

今夜も長らくおつきあい下さり有難うございます。

<ゆっつら〜と館T>


当講座は、4月に申込み頂いた受講生を対象にしております。
受講生以外で受講されたい方は、
一回(90分)500円でスポット受講が可能です。
posted by スタッフ at 14:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 街角大学

2011年10月21日

 
 認知症についての最近の話題を紹介し、併せてご自身のことについて知っていただく試みを通して、認知症の知識を深めていただきます。認知症をただ怖がることなく、正確な知識を得て、普段の生活の仕方を工夫されることによって地域の皆様の安心が促進されます。
               佐賀大学医学部
             認知神経心理学分野教授  堀川 悦夫

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posted by スタッフ at 13:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 街角大学

2011年10月14日

 佐賀市は日本一の”ノリのまち”です。貝殻の中で夏を過ごし、秋に成長しておいしい板ノリとなる。ノリの一生を紹介します。

           佐賀市水産振興課 課長  田原 和典

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2回目は、伝統芸能と民俗芸能の違い、唐津、佐賀、鳥栖の田代で継承されている民俗芸能の特徴などの紹介がありました。
特に印象に残ったのは、鍋島の新庄にかつて能を舞う「美麗衆」なる一団があったということです。鍋島には「美麗田」という地名が遺されていますが、そこととの関連も説明ありました。
神埼市の仁比山(にいやま)神社=山王さんで行われる御田舞(おんたまい=田植え前の作業の様子を舞う予祝として行われる)
そして田植えの様子を舞う佐賀市川久保の白髭神社の田楽が紹介されました。
双方とも、米が立派に育つように祈願などのために行われてきたのですが、米の収量が藩の財政に大きく影響するためにこれらの行事には様々な支援を行ったようです。
千代田町の高志(たかし)狂言が消滅した或る一派の特徴を今なお伝えていることも説明されました。

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今月の18・19日は白髭神社で田楽が催されます。もう、すぐですね。そうそう、食べ物の「田楽」との関連も教わりましたよ。
秋は肥るなあ!

言い訳じみて恐縮ですが目下録音データをもとに編集中です。
詳細は今しばらくお待ちください。
  


<ゆっつら〜と館 T>



当講座は、4月に申込み頂いた受講生を対象にしております。
受講生以外で受講されたい方は、
一回(90分)500円でスポット受講が可能です。
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2011年10月07日

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2012年大統領選挙を控える韓国と「強盛大国の大門を開く」という北朝鮮に果たしてどのような明日が来るのか。北朝鮮現地に旅行して、撮影した写真と一緒に、来年に向かい激動する、朝鮮半島の情勢を平易に解説します。

           佐大文化教育学部准教授  森 善宣

 
posted by スタッフ at 13:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 街角大学

2011年10月06日

街角大学実践コース第3期 佐賀の祭り 全5回が始まりました。講師は佐賀歴史民俗会の金子信二さんです。
10月6日〜11月10日(毎週木曜日 10:30〜12:00)


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講義スケジュール

第1回 始めに・・・・・・民俗とは 民俗の諸相
第2回 民俗芸能・・・・民俗芸能 民俗芸能とは
第3回 浮立その1・・・天衝舞浮立 面浮立 太鼓浮立 鉦浮立
第4回 浮立その2・・・舞浮立 荒踊り 行列浮立 大念仏 
              広瀬浮立
第5回 獅子舞・・・・・




当講座は、4月に申込み頂いた受講生を対象にしております。
受講生以外で受講されたい方は、
一回(90分)500円でスポット受講が可能です。
posted by スタッフ at 14:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 街角大学

2011年09月30日

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松竹梅、門松、庭園、白浜青松などでお馴染みの常緑のマツが、秋になると急に,紅葉して枯れる。原因は何か?探求の課程で明らかになった線虫と昆虫が相互に依存する関係とマツ
枯れと日本社会との関係を考えたい。
              佐賀大学名誉教授  近藤 栄造



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2011年09月16日

 佐賀県は日本の近代化において、政治、経済などの分野に、大いに貢献したが、文化、とりわけ美術の方面においても 多くの作家を輩出した。そうした美術家たちの個性的な活躍の姿を、その作品とともに紹介する。
                名護屋城博物館館長   松本 誠一

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2011年09月09日

 私は法律学の教員ですが、しかし歩行者信号は守らずに、赤信号でも堂々と渡ります。これは私自身にとっては、市民として、良心を賭けて、現代のクルマ優先社会に対抗しようとする市民的不服従の(つもり)です。この内情を、受講の皆さんから、お叱りを覚悟しつつ(!)お話します。
               佐大教育学部准教授  吉岡 剛彦

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2011年09月05日

9月1日 夏休み明けの実践コースは佐賀の文学散歩で始まりました。講師はおなじみの上原先生です。
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