2007年10月18日

松原川の生き物たち9 ミツバチ   

今月始め、松原神社の楠にハチが営巣しているのを見つけた。
地上から5〜6m位の高さにある枝の洞だ。
数はそれほど多くはないようだったが、街なかにハチがいるのが何だか嬉しかった。
通りかかった人皆に教えてやっても尚足りない位嬉しかった。

木の洞(うろ)という自然な場所に巣を作っていることからして
日本ミツバチかも?と思ったがその日は確認できなかった。
写真は、450mm相当の望遠レンズで撮影したものだが、それによっても判断は難しかった。

数日後、観察を終え石垣に腰を下ろすと、足元に数匹のミツバチが集まっていた。
頭上の巣から飛んで来ては落ち葉の間に潜り込んで何やらやっている。
蜜のある方角、距離を仲間に知らせる「8の字ダンス」はやっていない。当たり前だ、それは巣でやるのだ。

やはり西洋ミツバチのようだが念のため、一匹採集した。
日本ミツバチも、夏は色が鮮やかになるというのを聞いたことがあったからだ。「かわいそう〜。」と思わないではないが。
Pity is Akin to Love 可哀想は惚れたってことよ!

自宅に持ち帰り、識別の確度を増すために後翅の翅脈(しみゃく)を見る。ここが西洋ミツバチと日本ミツバチとでは微妙に違うらしい。
どれ位微妙かと言うと。ルーペで見なければ分からない位の
微妙さだ。微妙は苦手だ。「微」という文字がつくものは総じて苦手だ。だから人付合いも苦手だ。

翅(はね)にある脈、葉っぱでいえば葉脈にあたるものの違いを見ることになるから、佐賀弁で言う「ざっとなか」作業だ。
惨い(むごい)ことをする喩えに「ひよこの脚に針」というのがあるが、“ざっとなか”作業をすることの喩えとして・・・・・・・・・
「ミツバチの翅脈を見る」を登録したいくらいだ。

ピンセットで後翅のみをつまみ、ルーペを押し当てて見ようとするが、ミツバチ君はまだ生きている。弱ってはいるが動き回る、でんぐり返る、丸くなる、etc。そこを宥(なだ)めて、賺(すか)してetc。やっと固定してルーペを覗く。
ピントが合っていない。
抽き出しをかき回して別のルーペでやって見ても同じだ!

ついに来たか近視・乱視・老眼三重苦!

落胆して椅子の背にもたれて頭を掻いていると、ミツバチ君がスコスコとルーペの中から這い出して来るではないか。??
ルーペとテーブルの間には、ピンセットが在った。
だからピントが合わなかった。

数年ぶりの深い、極め付きの溜め息を思わずついた。
酷な手段を用いて確認した。

西洋ミツバチ君は抽き出しの中で眠っている。
ミツバチの寿命は40日位らしい、そしてその間スプーン一杯の蜜を集める。10gの蜜を集めるのに10〜20万回訪花すると言われている。

日本ミツバチは巣にあまり馴染まず、採蜜度も低いため明治の始めに持ち込まれた西洋ミツバチに置き換えられた。しかしこんな所にミツバチがいるのも驚きだった。嬉しかった。
もうすぐ目と鼻の先に花屋さんが移転オープンするぞ!
スズメバチに負けずに生き抜いて欲しい。

アメリカでは、Colony Collapse Disorder=CCD(群れ崩壊症候群)と呼ばれる症状が広範に広がり、ミツバチの数が劇的に減少しているとTVで報じていた。作物の受粉も担っているミツバチの減少は大問題だとも・・・。
ミツバチのような、普段気にもかけない生き物が、実は食の根幹を担っている。怖いような、感謝したいような気がする。

日本においてはCCDのような病的要因?によるミツバチの生息環境の悪化は寡聞にして無知だが、蜜原となる植物の減少による問題が浮上している。

日本はちみつ協会の「アカシアを守る会」によれば。
蜂蜜総生産量の約半分をもたらすのがアカシア、正式名称ニセアカシアだ。明治初頭に移入されたこの樹が、「特定外来生物法」(在来種の多様性を維持するために、指定された動植物の移入・栽培・播種を禁じる法律)にリストアップされる前段階の「侵略的外来種」に指定され、伐採・枯殺が進んでいる。
微妙な問題だ。

趣味でミツバチを飼うことに問題はないようだ。
ハチも含んだセットで一桁万円?
飼うのも面白いと思い始めている。空中農業だ。
好事家に向けて下にリンクを張っておきます。

今日も永らくお付合い下さりありがとうございます。

<ゆっつら〜と館 T>




シリーズ

1.ヤリタナゴ 2.ツチフキ 3.ニゴイ 4.トウヨシノボリ 
5.オオスズメバチ 6.ムクドリ+ことりのさえずり  7.ドバト
8.スジエビ 9.ミツバチ 10.コゲラ  11.メジロ 
12.松原川の生き物たち号外-1  閉塞・停滞・混濁
13.大きな水槽が欲しい 14.松原川の生き物たち号外-2
15.アオサギ 16.松原川の生き物たち号外-3 撮影について
17.シジュウカラ  18.ツグミ
19.松原川の生き物たち号外-4 撮影機材について
20.カチガラス





     ミツバチと環境



PHOTO
クスノキの枝の洞(うろ)に作られた巣。入り口に固まっ
ているミツバチ達。門番だろうか?
天敵の出現にミツバチがスクランブル発進。
上の大きな影はヒメスズメバチだろう。近くのマンションに住
む人の話では、部屋にも入ってくることがあるようだ。
親水歩道の石垣に来て水を飲む(?)ミツバチ達。
甘い水でもあるのか?人目を全く気にしない態度は立派。
この写真を見る限りでは西洋ミツバチだが・・・はてさて。
5月、我が家のユズリハの木に現れた日本ミツバチ。
ラグビーボール程の塊になっている。
西洋ミツバチに比べ体色が薄い。
分蜂(ぶんぽう)してきたのだろう、2時間位この状態だった。

posted by スタッフ at 03:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生き物・環境
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