2007年10月14日

松原川の生き物たち8 スジエビ

鯉の死骸に群がるスジエビ。 肉食性である。骨だけになるまで残さず丹念に食べる。そこが
川の掃除屋の一員たる由縁だ。
食べたものが透けて見える透明な体。忙しく動き回る、仲間の体の上であろうが何だろうがお構い無しである。



ほぼ一ヶ月振りにシリーズを再開する。
この間に松原川の水量は減り、水温も約5度ほど下がり今日あたりは、20度を下回っているかも知れない。

小学1年生の女の子を連れて川辺を歩いてると(当たり前のことだ、常人は水上を歩けはしない)神社北側の太鼓橋付近で、白い物を見つけた。鯉とおぼしき物の死骸だった。
顔を近づけて水中を覗き込むと、2・3cmのエビが群がっていた。スジエビだ。

松原川では、水深があり、なおかつ人がエサをやることにより鯉が集中する参堂正面の太鼓橋辺りを避け、ここ北側の太鼓橋より上流で、石組みがなされた所に多くいるとみていた。
それでも、昨年10月末頃はこれほど簡単には見つけられず、川底に堆積した落ち葉をアテズッポウに網で掬いようやく3匹採れた程度でしかなかった。
近所に住むという40年配のご婦人は「子どもたちが小さかった頃は、エビを捕って一日中遊んでいたのに、エビも魚も少なくなりましたね。」と川と生き物の変貌を残念がっておられた。

それなのに何故これほど沢山のスジエビがいるのか推理した。

昨年と比べ大きな台風も無く、高水温が持続している。
水量も少ない。浅場となったここはもう、鯉の急襲に遭う怖れがない。その上“オカシラ付き”のご馳走がデンとある。
ましてこれは累代の仇の骸である。
「恨み晴らさでおくものか。骨までしゃぶってやる。」と意気込んで馳せ参じた者も多かろう・・・。

連れの小学生と採りにかかる。鯉の肉をたらふく食べて岸辺の石に着いているそやつを、手のひらを揃えそ〜っと引き上げようという算段である。もう顔は水面に着きそうである。
通りすがりの誰かが「あっ、ゴメン」と、尻の辺りに少しでも触れようものなら、落水の憂き目をみるような体勢だ。

そのような失態はなんとしても避けねばならない。
しかし、他人のとは言え子どもの手前採らねばならない。

両手で作った囲みをじわりじわりと狭める。
もう少しで採れる、水面近くまでは持ってこれる。だがそやつは直前に、水と一緒に指の隙間をすり抜け、またあるやつはピンとハネて逃げる。素早くやってみるがなお駄目だ。

石の上だ、膝が痛くなってきた。3年いるか!どうしたものか!
しかし、これ以上の体位も大人としてとれぬ。
それが忘我の境地を拓くとも。

果たして、大人の思慮分別など無用な幼児が最初に捕った。
小さな手で捕った。・・・じっと手を見る。

大人には分別と引き換えに得たささやかな知恵がある。
携帯灰皿をやおら取り出し、洗い、それにエビを入れて幼時に持たせた。怪訝そうなのを大人の器量で無視し、「ゆっつら〜と館の水槽に入れておいで。そして、小さな網があるから持って来なさい。」と半ば言い含めたのだ。

その後は、それこそ掬うように捕れた。道具を使わせたら大人の勝ちである。勝ちに拘るのは大人の性質(たち)である。

そうやって得られたスジエビは、タナゴ・フナ・オイカワ等と一緒に、当館の又してもささやかな水槽で飼われている。
金魚用のエサを与えると、10本の脚を懸命に動かして水面まで上がってくる。
そのしぐさはとてもかわいいが、カラスガイの呼吸口をいじくりまわしたり、魚にまとわりついたりもする。
4本の触覚を持つかなりウザイ奴である。


<ゆっつら〜と館 T>




シリーズ

1.ヤリタナゴ 2.ツチフキ 3.ニゴイ 4.トウヨシノボリ 
5.オオスズメバチ 6.ムクドリ+ことりのさえずり  7.ドバト 
8.スジエビ 9.ミツバチ 10.コゲラ  11.メジロ 
12.松原川の生き物たち号外-1  閉塞・停滞・混濁
13.大きな水槽が欲しい 14.松原川の生き物たち号外-2
15.アオサギ 16.松原川の生き物たち号外-3 撮影について
17.シジュウカラ  18.ツグミ
19.松原川の生き物たち号外-4 撮影機材について
20.カチガラス


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